『砂の女』の表現のレベルが高すぎる件

人文科学

こんにちはロウシです。

いつも記事を一読してもらってありがとうございます。

皆さん、『砂の女』という作品はご存じですか。

『砂の女』という作品は、安部公房の小説で20カ国語で翻訳された世界的に評価の高い小説です。

そんな『砂の女』の魅力はいったいなんなのでしょうか。

今回はそれを紹介していきます。

この記事でわかることはこういったことです。

  • 『砂の女』の作者
  • 『砂の女』のあらすじ
  • 『砂の女』の魅力
  • 『砂の女』がおすすめの人

『砂の女』の作者

wikipediaより

『砂の女』の作者は安部公房(1924~1993)です。

彼は、日本の作家、劇作家、演出家です。

東京都に生まれ、満州で幼少期をすごします。

高校時代、ハイデガーやリルケに傾倒していたそうです。

戦後、様々な芸術活動に積極的に参加し、その作品は、海外でも高く評価され、世界30カ国で翻訳され出版されています。

『砂の女』のあらすじ

教師の仁木順平は八月に休暇を取って砂丘に趣味の昆虫採集に出かける。

そこには今にも砂に埋もれそうな集落があった。最後のバスを逃した彼は村の老人の紹介で深い穴の底の民家に泊まることにした。

その民家には砂かきにいそしむ一人の未亡人がいた。

翌日男が自分の家に帰ろうとすると、地上に上がるための縄ばしごが外されており穴から出られなくなった。

常に砂を掘り続けないと村は崩れてしまうため、村人は働き手を得るため男をだましたのだ。

だまされた男は、埋もれそうな家で女と同居することになるが・・・・

<こんな人におすすめ>

『砂の女』はこんな人におすすめです。

  • 自由を知りたい人
  • 理不尽を知りたい人
  • 人間の本質を知りたい人

『砂の女』のオススメ3ポイント

表現のレベルが高すぎる

『砂の女』のおすすめポイントその一は「表現のレベルが高い」です。

『砂の女』の一番の魅力は個人的にはこれだと思います。

どういう風にすごいのか試しに引用してみます。

錆びたブランコをゆするような、ニワトリの声で目をさました。

安部公房(1981)『砂の女』新潮社(p.50)

これすごくないですか。

普通、「ニワトリの声で目を覚ましただけ」で終わってしまいます。

ですが、この本は違います。

ニワトリこの声を錆びたブランコを揺するような音に例えます。

この一文で表現力の高さが分かるような気がします。

理不尽に慣れてしまう人間の描写

『砂の女』のおすすめポイントその二は「理不尽に慣れてしまう人間の描写」です。

主人公の仁木順平は圧倒的に理不尽な目にあいます。

何も悪いことはしていないのに、突然深い穴の中から出られなくなってしまうのです。

ですが、そんな理不尽にすら男は慣れてしまいます。

最初は脱出を必死に試みます。

ところが最後の方はむしろ村人と同じような思考をしてしまっているのです。

この描写がすごく、グッときました。

昔話と似た構造

『砂の女』のおすすめポイントその三は「構造が昔話と似ている」です。

これはどういうことかというと、『砂の女』の物語の構造が昔話の構造にそっくりということです。

昔話の構造は、

日常→非日常→日常です。

たとえば、鶴の恩返しだと、

「老人が暮らしている」→「鶴を助けて、恩返ししてもらう」→「しかし、約束を破って元の生活にもどる。

つまり「老人が暮らしている」が日常、「鶴を助けて恩返ししてもらう」が非日常、「約束を破って元の生活に戻る」が日常です。

これと同じように『砂の女』をまとめると。

「主人公は教師として生活している」→「昆虫採集に向かった先で罠にはめられ閉じ込められる」→「その理不尽に順応しそれが日常になる」

この構造はまさしく昔話だと私は思います。

これも『砂の女』の魅力の一つです。

まとめ

  • 『砂の女』の作者は安部公房
  • 『砂の女』の表現がすごい
  • 理不尽にすら人間は順応してしまう
  • 『砂の女』は昔話と構造が同じ

今回は『砂の女』についての記事でした。

この記事に載せれていない内容もたくさんあります。

ご興味があればぜひご一読ください。